逗子アーデンヒル自治会がデマンド(乗り合い)タクシーの実証実験に向けて9月19日、自治会館(逗子市沼間3)で説明会を開催した。
東逗子駅そば、逗子インターチェンジすぐの山の上に位置する団地アーデンヒルは1987(昭和62)年に造成が始まり、約540区画が売り出された。現在も約500世帯が暮らしている。
元自治会長の山上昭七郎さんは「当初より路線バスの運行はなく、何度か、逗子市へ陳情書や要望書を提出してきた。私も週に2回、タクシーを利用して外出するが、多くの住民が高齢化により、自家用車での外出が難しくなっている」と話す。説明会の中では、ミニバスでも採算的に運行が難しいなどという話があり、既存の交通インフラを利用することで費用を抑えられるデマンドタクシーへの取り組みになった経緯が説明された。
現在予定されている実証実験は、関東運輸局から運行の認可が下りた後、10月中旬~来年3月31日、逗子アーデンヒル地区(東西南北4カ所)とJR東逗子駅間を運行。運行車両は逗子菊池タクシーの7人乗りミニバンを定員5人で利用。運行時間はアーデンヒル発10時、13時、14時、15時。駅発が12時40分、13時40分、14時40分、15時40分。原則、前日までの予約制。運賃は大人=300円、小学生・障がい者手帳を持っている人=150円。チケット(10枚つづり、5枚つづり)を購入し、乗車時に運転手に渡す。現金やカードでの支払いはできない。
自治会では説明会前に全世帯に対し、「新たな地域交通に向けて」というアンケートを実施し、約100人から回答を得た。回答者は60歳以上の高齢者が多く、週2回以上、約43%が徒歩・約35%が自家用車で外出しているという結果が出た。デマンドタクシーへの期待も多いが、予約しないと利用できないこと、使いやすさへの条件などが課題として挙がった。午前・午後と約40人が参加した説明会でも、10時前の運行や定員に満たない場合は予約なしでも乗車可能にしてほしいなど要望が寄せられた。
自治会では会長が代わってもプロジェクトが続くよう、「デマンドタクシープロジェクト」を作り、6人のメンバーが逗子市と共に専任で検討している。森谷仁会長は「これまで何度も市に要望してきた公共交通の導入がやっと実証実験できるところまでこぎ着けた。ただ実験の結果、採算性、事業性を判断してみないと前に進まない。平均乗車率が50%ないと赤字になってしまう」と話す。東逗子商店街の会長でもあることから「商店街を利用することで、タクシーチケットをサポートするなどこの団地だけでなく、東逗子の地域全体が暮らしやすくなったら」と力を込める。
デマンドタクシーは「アーデンGO(ゴー)」という愛称を付けて地域定着を図る方向。