逗子の池子の森自然公園緑地エリア(逗子市池子)で5月29日、「ホタルの観察会」が行われ、家族連れなど約25人参加した。
ホタルの光が舞う(提供=池子の森自然公園公園見守りサポーター 礒貝高弘さん)
同園は、2014年11月に日米合同委員会により共同使用許可を受けた「池子住宅地区及び海軍補助施設」の一部約40ヘクタールを整備し、スポーツエリアは2015年2月に、緑地エリアは約1年かけて自然環境調査をし、2016年3月に開園している。
緑地エリアは1941(昭和16)年に当時存在していた村を旧日本軍帝国海軍が接収したという経緯があり、その後70年以上、土地の改変や樹木の伐採などが行われず、自然が手つかずの状態で残されてきたため、動植物の生息地として貴重な森となっている。
ホタルの生態調査は生物指標の一つとして、2016年から調査が続いている。同エリアにはゲンジボタル、ヘイケボタル、オバボタルなど6種類が生息。その一端を市民にも公開しようと今年も3回、観察会を開催する。募集定員以上の申し込みがあり、関心は高い。
一緒に参加した逗子市の平井竜一市長は「貴重な動植物と人がどんな距離感で共存できるか、専門家も交えて知恵を絞っている。観察会では、ホタルが手にとまるなど感動にも出会えるので、そんな体験を通して、環境をみんなで守っていくことの大切さを伝えてほしい」とあいさつした。
観察会はスライドによるホタルの説明の後、ゲンジボタルが生息する池子川水系の久木池下流に移動。調査を続けている同公園のサポーター、片山舜輔さんから「19時過ぎに一番ボタルが光るので見逃さないように」と声が掛かり、参加者は暗闇に目を凝らして待った。ちょうど19時ごろ、一番ボタルが光り、子どもの歓声が上がった。その後、30分~40分ほど、次々に光を帯びてゆらゆらと飛び交った。この日は34個体がカウントされたため、その3倍、100個体は生存するとの説明があった。
その後、初めての試みとして、ホタルの飛行に支障をきたすというササや枯れ草を伐採した流水路を約50メートル歩いた。頭の上をホタルが飛び、光のトンネルになる場合もあるという。
逗子に越して1年余りという母親は「この公園に来たのも初めて。こんなに自然がたくさん残っている場所だと知って、また遊びに来たいと思った」と話し、家族4人で参加した父親は「これほど近くで見られるとは思わなかった。家族一緒に参加できて良かった。子どもたちはかなり興奮していた」と喜んだ。
同公園のボランティア、見守りサポーターの代表、石井達郎さんは「この自然は逗子の宝だと思う。どうやって有効に市民が活用していかれるか行政と専門家と一緒に検討している」という。夜に公園に入るという特別な機会となっている観察会も、行政と見守りサポーターの協力体制の下で行われている。
一般公開は、土曜日曜休日の8時45分~17時。平日の開園は今後の課題。