葉山町が9月30日、水事業を手掛ける会社「ウォータースタンド」(さいたま市)と「プラごみゼロ宣言」に関する協定を、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指す会社「TBM」(東京都中央区)と連携してマイクロプラスチック問題に取り組むことに関する包括協定を結んだ。同町が推進する「はやまクリーンプログラム」の一環。
ペットボトルから缶容器に変わった販売機。葉山町福祉文化会館で
同プログラムは、SDGsの目標達成に向け環境への取り組みを進めるために葉山町が独自で策定した。同町は昨年11月、セイラーズフォーザシー日本支局と海の豊かさを守り、海洋環境保護を目的とした包括協定を全国の自治体に先駆け締結している。
今回、自治体として全国で2番目に葉山町と協定を結んだ「ウォータースタンド」は、町の公共施設7カ所に水道直結型のウオーターサーバーを2021年3月31日まで無償で設置するほか、イベント用にタンク式サーバーを2台貸与するもの。山梨崇仁葉山町長は「コップがないと水は飲めないが、これまでのようにサーバーの横にコップを用意するのではなく、マイコップやマイボトルを持ち歩くというライフスタイルに変えること、地球環境に配慮する文化を作っていくことが大切」と説明する。
「TBM」は、鯖江市、神奈川県に続く3つ目の自治体として葉山町と連携。紙、プラスチックの代替製品として自社開発した石灰石由来の新素材LIMEX(ライメックス)や、植物由来の新素材Plax(プラックス)の活用などを進める。手始めにLIMEX素材で製作した同プログラムののぼりを提供した。
「TBM」執行役員CMOの笹木隆之さんは「再生利用の素材はアップサイクルが可能で、再生に必要な水やエネルギーの削減も図れるが、この循環型まちづくりは地域や生活者と一緒に取り組むことが大切。葉山町は自然環境も町の大きさも住民とのつながりもそれができる町」と期待を寄せる。
町では率先して町職員から始めようと、10月1日から職場へのレジ袋持ち込み禁止、マイボトル使用の標準化を宣言し、町が管理する公共施設(役場庁舎・教育総合センター・福祉文化会館・図書館・南郷上ノ山公園・しおさい公園・保健センター・消防庁舎・クリーンセンター)の売店と16台の自動販売機でのペットボトル飲料販売を廃止し、缶入り飲料に変えた。
町が共催・後援するイベントを開催する場合は、ペットボトルを持ち込ませない、プラスチック製のコップや皿などは使用しない、マイ箸・マイ皿・マイコップを持参するよう呼び掛けるなど環境への配慮が必要になるという。
山梨町長は「プラごみも分別すればいいのではとこの取り組みを疑問に思う人もいるが、今回の取り組みはプラスチック製品を買う・使うという行動を見直そうという取り組み。葉山は家庭ごみの個別回収でごみの減量にも成功した地域力のある町。今後は商工会をはじめ、漁協や農協とも話し合いながら活動を広げていきたい。皆さんの協力をお願いしたい」と呼び掛ける。