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葉山の老舗「菊水亭」、大正時代から続く「かき氷」を復活 命名は謎

80代も懐かしむ「菊水亭」のかき氷「エコ」

80代も懐かしむ「菊水亭」のかき氷「エコ」

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 葉山の森戸海岸すぐの森戸橋たもとにある創作イタリアンレストラン「菊水亭」が7月5日、大正時代から続く「かき氷」を復活させた。

「菊水亭」独特のかき氷を作る店主・高木康之さん

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 1910(明治43)年、「浜茶屋」として創業した同店は大正時代に「かき氷」を始めた。店に残る中で最も古いメニューがいつの時代かは不明だが、コーヒー50円などの飲み物と並んで、かき氷名として「エコ」「レモコ」「ジロマン」「ペコ」など7種類が35円~50円で記載されている。

 4代目・高木康之さんによると、この一連のカタカナ名はイチゴシロップと練乳味の「エコ」から始まった名前で、「エコは、イチゴミルクが好きだった当時のアルバイトの名前だと聞いているが、他にも説がある。レモン味を『レモコ』、メロン味を『メロコ』など分かりやすい名前もあるが、例えばアズキを下に入れた2種類の名前、『ジロマン』『タロマン』などは命名理由が分からない」と話す。

 始めた当時から評判が良く、店の外まで行列ができたほどで、かき氷担当のスタッフが4~5人いたという。店独特というかき氷は機械でかいた氷にシロップを合わせて攪拌(かくはん)し、器に押し入れるため、手間と力が必要となる。現在、高木さんは料理を作りながら、すき間の時間でかき氷に取りかかるため、時間が必要となる。それでも昔食べた味が忘れられずに通う地元の人たちがいるという。

 コロナ禍を機に、手間もかかるため提供していなかったが、復活を望む声も多かった。きっかけは2年前の森戸大明神例大祭。店前で真名瀬神輿会(みこしかい)が店オリジナルの甚句を新たに作り、披露。「しめにはデザート頼んでね レモコにモモコのかき氷 一口食べればひんやりと 夏の夕べの心地よさ」と詠まれた。高木さんは「店の甚句はとてもうれしかった。そこに盛り込んでもらったのだから復活させようと思った。ただ、機械を一人では運べない重さなので、みこしのみんなに手伝ってもらった」と振り返る。

 「昔はあんの混ぜ方にも注文を出す常連がいた。食べ方を教える地元の人もいる。小さい頃から見てきて、見よう見まねで引き継いだかき氷。氷をかく刃も一回一回調整しながら提供している。お待たせするかもしれないが、思い出とともに味わってもらえたら」と高木さん。

 営業時間は、月曜~水曜=11時30分~15時・17時~24時、金曜=16時~24時、土曜・日曜・祝日=12時~15時・17時~24時。ディナーラストオーダーは22時。木曜定休。かき氷の提供は9月末までを予定。

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