逗子とインドネシアにアトリエを持つアーティスト栗林隆さんの展覧会「Roots(ルーツ)」が12月14日、神奈川県立近代美術館葉山館(葉山町一色)で始まった。
2003(平成15)年に竣工、開館した同美術館は今年9月29日から2025年3月末まで、改修工事により展示室での展示を休止している。そのため、同展は普段、展覧会では使わないエントランスやロビーなどの空間を活用し、新作のインスタレーションを発表している。
長崎県平戸出身の栗林隆さんは大学卒業後、12年間、東西統合から間もないドイツに滞在したことなどから影響を受け、「境界」をテーマに作品を発表。2005(平成17)年、帰国する際に展覧会の企画で知り合った人から空き家を紹介され、逗子に移住。同町で知り合った仲間たちと2010(平成22)年、今も続く「逗子海岸映画祭」を始めた。栗林さんは「逗子は自然との距離感や、暮らしていくうえで町の規模感がちょうどいい」と話す。
2022年、ドイツで5年ごとに開催される現代アートの国際美術展「ドクメンタ15」で、その逗子の仲間(Cinema Caravan)と発表した「元気炉四号機」が評価され、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している。
栗林さんは約1カ月、展示ロビーにアトリエを構えて作品を作ったが、会期中もアトリエでドローイングなどを手がけ、「展示作品に変化があるかもしれない」という。「地元でこの規模の展覧会を開催できて私の仕事ぶりを地元の人たちに理解してもらえるいい機会」と言い、「これまで約30年、振り返ることをしてこなかったが、今回、ルーツというタイトルで初めてカタログも作った。一度立ち止まって、自分が何をしてみようとしているのかを考え、新たにスタートするには、地元で展覧会ができて良かった。足を運んでもらえたら」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(1月13日、2月24日を除く)、12月29日~2025年1月3日休館。観覧料は、一般=1,000円、20歳未満・学生=850円、65歳以上=500円、高校生=100円。3月2日まで。